神の一手となるか?発毛に有望なマイクロRNAが特定される(米研究)

今後の薄毛治療にも期待!ES細胞・iPS細胞から毛包含む皮膚の作製に成功
カラパイア
発毛に有望なマイクロRNAを特定
発毛に有望なマイクロRNAを特定 /iStock

 科学者だって髪が大切なことを良く知っている。様々なアプローチで、神の一手(髪の一手)となりうる方法を模索し続けている。

 今回、ノースカロライナ州立大学(アメリカ)の研究グループによって、髪の再生をうながすと考えられるマイクロRNA(miRNA)が特定されたそうだ。

これを利用することで、クリームやローションのような新しい発毛剤を開発できるかもしれないという。

発毛に欠かせない皮膚乳頭細胞

 髪が発毛するには、毛包の成長サイクルを調整する「皮膚乳頭細胞」が健康でなければならない。だから、この細胞が不健康なまま発毛剤を使ったり、外科的に植毛したりしても、それほどの効果は得られない。

 最近の研究によると、じつはハゲてしまった部位でも毛包が消滅してしまうようなことはなく、ただ縮小しているだけなのだという。

 だから、もし皮膚乳頭細胞を元気にすることさえできれば、毛包を復活させ、発毛も期待できると考えられる。

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Pixabay

90%の範囲で発毛促進

 今回、チャン・クゥ氏らが行ったのは、皮膚乳頭細胞を2次元環境ならびに3次元スフェロイド環境で培養し、それをマウスに処方するという実験だ。

 「スフェロイド」とは、三次元の細胞構造のことで、細胞に備わった自然な微環境を再現することができる。

 培養細胞を移植した部位を観察してみると、3次元スフェロイド細胞を与えられた部分では15日で90%の範囲で発毛が見られたという。

 「最良の結果が得られたのは、ケラチンの足場に組み込んだ三次元スフェロイド細胞でした。スフェロイドは髪の毛の微環境を再現し、ケラチンの足場は発毛に必要なアンカーとして作用します」と、チャン氏は説明する。

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iStock

発毛プロセスを制御するmiRNA

 研究グループは、皮膚乳頭細胞が毛包の成長プロセスを制御する方法も調べている。そのために皮膚乳頭細胞のエクソソームmiRNAが分析された。

 「エクソソーム(小胞)」とは細胞によって分泌される顆粒状の物質のことで、細胞同士がコミュニケーションを図るさいに重要な役割をはたすものだ。そして、この中にはmiRNAという遺伝子の発現を調節する分子が含まれている。

 研究グループが皮膚乳頭細胞の中のエクソソームmiRNAを調べたところ、「miR-218-5p」というmiRNAが、毛包の成長をうながす分子経路を強化していることが判明した。

 miR-218-5pが増えれば毛包の成長が促進されるし、反対にその機能を阻害してしまえば成長しなくなるのだ。

髪を復活させる神の一手となるか――細胞治療とmiRNA治療

チャン氏によると、スフェロイドとして培養した皮膚乳頭細胞による細胞治療がハゲに効くかもしれないという。ただし、こちらの方法では、そうした細胞を成長させたうえで、ハゲた部位に移植せねばならず、かなりの手間がかかる。

 一方、miRNAならば分子ベースの薬剤に混ぜて利用することができる。したがって可能性としては、頭皮に塗布して使うクリームやローションの開発が考えられるようだ。チャン氏は、今後はこうしたmiRNAによる発毛促進を研究したいと話している。

この研究は『Science Advances』(7月24日付)に掲載された。

Dermal exosomes containing miR-218-5p promote hair regeneration by regulating β-catenin signaling | Science Advances
https://advances.sciencemag.org/content/6/30/eaba1685

References:news.ncsu/ written by hiroching / edited by parumo

管理人コメント

現在発売されている発毛剤は、リキッド状(液状)のみで、有効成分として「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」にも認められているミノキシジル成分が配合されています。

この研究が進めば、リキッドタイプの発毛剤だけではなく、クリーム状のものやローション状の発毛剤も開発されてくるかもしれません。また、ミノキシジル以外でも発毛できる手立てがあるのであれば、ミノキシジルで副作用が出てしまい使用を断念してしまった人たちにも、もしかしたら発毛剤を懸念することなく使える日も近いかもしれませんね。