5α還元酵素阻害薬「プロペシア(フィナステリド)」の効果や副作用を解説

プロペシア(フィナステリド)

このページではAGA治療薬の定番とも言われる「プロペシア(フィナステリド)」に関して、「開発経緯」や「作用機序」はもちろんのこと、「AGA治療効果」「副作用」「ドーピングのリスク」など幅広い情報を提供していきます。

プロペシア(フィナステリド)の概要情報

商品名(日本)プロペシア
英語表記Finasteride
開発会社メルク社
男性型脱毛症診療ガイドライン評価男性:A判定、女性:D判定
服用方法1日1回服用
作用機序5α-還元酵素Ⅱ型を選択的に抑制することにより
テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害
厚生労働省承認日2005年10月11日
FDAの許可の有無
半減期(成人)※16~8時間
化学式C23H36N2O2
代謝肝臓
添付文書プロペシア 0.2mg/1mg PDF

※1 「半減期」:物質やその能力や機能、濃度などが、代謝などの化学的な反応などによって半減するまでに要する時間を指す。

フィナステリドとプロペシアの違い

フィナステリドとプロペシアが同じ様に記載がしてあるHPが多い為、この2つに明確な違いが無い様にとらえてしまう方も多い為、このフィナステリドとプロペシアの違いをまずは説明していきたいと思います。

  • フィナステリド:成分の名前(プロペシアの主成分
  • プロペシア:薬の商品名(MSD製薬の商品)

上記の様に「フィナステリド」と「プロペシア」の名前の意味には明確な差があります。なお、プロペシアはその効果から5α還元酵素阻害薬とも呼ばれています。本ページではプロペシアの主成分がフィナステリドという意味で「プロペシア(フィナステリド)」と表記をしていきます。

プロペシア(フィナステリド)の開発経緯

アメリカのメルク社が開発した「フィナステリド」は、もとはプロスカーという商品名で前立腺肥大症の治療薬としてアメリカで用いられてきました(日本では非承認)。その研究の過程において、発毛の兆候がみられたことから発毛剤として注目されるようになり研究が開始しました。

1997年にアメリカの厚生労働省にあたるFDA(食品医薬品局)に男性型脱毛症(AGA)治療薬として認定されました。その後、日本では1年間の臨床試験を経て2005年10月に厚生労働省から承認が下り、同年12月にメルク社の日本法人であるMSD株式会社(旧 万有製薬)よりプロペシアという商品名で製造及び販売がされるようになりました。なお、現在では世界で60か国以上でAGA治療薬として承認を受けています。

なおプロペシアを製造している万有製薬は、1915年に創立され梅毒の特効薬であるサルサバンをはじめ多くの治療薬の研究・開発をしてきた日本の製薬会社です。前立腺の治療薬であるフィナステリドを開発したメルク社と提携しており、その後にメルク社の子会社となった末にMSD株式会社に社名が変更となりました。

2001年にフィナステリドの臨床試験を開始し、2005年にAGAの治療薬であるフィナステリド(商品名 プロペシア)を販売・処方が開始しました。2006年にはこちらのAGAのCMでも紹介していますが、タレントの爆笑問題を起用した「お医者さんに相談だ」というフレーズが印象的なAGAの啓蒙CMを放映し、日本におけるAGA治療の認知度を一気に上げるきっかけを作りました。

プロペシア(フィナステリド)の作用機序

プロペシア(フィナステリド)は、AGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を阻害することによって薄毛の進行を抑制して治療をしていく薬です。AGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成する過程にある、5α-還元酵素(リダクターゼ)ⅱ型とテストステロン(男性ホルモン)の結合を阻害することで、ジヒドロテストステロン(DHT)生成量を抑制します。この働きからプロペシア(フィナステリドは5α還元酵素阻害薬とも呼ばれています。

なお5α-還元酵素(リダクターゼ)にはⅰ型とⅱ型の2種類がありますが、プロペシア(フィナステリド)はⅱ型の結合の阻害のみに作用します。なお5α-還元酵素(リダクターゼ)ⅰ型は全身の皮脂腺に由来し、5α-還元酵素(リダクターゼ)ⅱ型は頭皮の皮脂腺に由来することから、AGAには5α-還元酵素(リダクターゼ)のⅱ型が大きく関与していると考えられています。

プロペシア(フィナステリド)の効果

男性における男性型脱毛症(AGA)の進行遅延(抜け毛の予防や薄毛の進行抑制)です。

こちらのページ「AGAの原因と仕組み」でも紹介していますが、AGAは通常のヘアサイクルの「成長期」「退行期」「休止期」の約2~6年のサイクルを、DHT(ジヒドロテストステロン)の影響により、成長期を数カ月~1年にまで短くしてしまい、髪が抜けるスパンが早くなり抜け毛が増え、髪のミニチュア化がおこり、最終的に髪の生え代わりが終わってしまい完全に頭皮の地肌が露出してしまう症状です。

プロペシア(フィナステリド)はテストステロン(男性ホルモン)と5α-還元酵素(リダクターゼ)ⅱ型の結合を阻害することで、AGAの症状を発症する根本原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する効果が期待できる薬です。

18. 薬効薬理
18.1 作用機序
フィナステリドは、5α-還元酵素Ⅱ型を選択的に抑制することによりテ ストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害し、発毛作用 を示すものと考えられる。

プロペシア錠0.2mg 1mg/添付文書

プロペシア(フィナステリド)の服用を開始すると、短くなったヘアサイクルが徐々に約2~6年の正常サイクルに戻る為、その間に抜け毛が少しずつ減少します。髪の毛1本1本がしっかりと成長する期間が出来ると、結果的に髪の本数や髪のボリュームが増すことで、AGAの症状である薄毛を改善するでしょう。

しかし、必ず覚えておかなければならないのがプロペシア(フィナステリド)は発毛を促す薬ではないという事です。あくまでも抜け毛を減らす現状維持程度の効果を期待することが重要です。

プロペシア(フィナステリド)の服用期間

一般論としてプロペシア(フィナステリド)を服用を開始して6カ月から1年でその効果を実感できると言われています。効果の実感に時間が掛かる理由は、プロペシア(フィナステリド)が直接的に髪を生やす効果はなく、ヘアサイクルを正常化して抜け毛を減らすことで毛量を元の状態に戻す為です。その為、半年未満で服用を辞めた場合にはその効果を実感することは難しいでしょう。

7. 用法及び用量に関連する注意
3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確 認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である。また、効果を 持続させるためには継続的に服用すること。なお、増量による効 果の増強は、確認されていない。

プロペシア錠0.2mg 1mg/添付文書

また服用期間の目安ですが、AGAは根治することが出来ず、服用を辞めると徐々にまたAGAの症状が現れ始める可能性がある為、薄毛が心配である期間はプロペシア(フィナステリド)を飲み続けることが必要になってきます。しかしながら、30歳を過ぎて歳を重ねるごとにAGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の原料となるテストステロン(男性ホルモン)の分泌量が落ちていくため、AGAの症状が現れる確立は下がっていきます。

その為、ある程度の髪の量まで回復をしたら急に服用を止めるのではなく、徐々にプロペシア(フィナステリド)の減薬しながら様子を見ることが最も賢い選択といえます。
 

プロペシア(フィナステリド)の副作用

安全性評価対象276例中11例(4.0%)に14件の副作用が認められています。主な症状としては以下があげられます。

・過敏症:瘙痒症、蕁麻疹、発疹、血管浮腫
・生殖器:睾丸痛、男性不妊症・精液の質低下・勃起機能不全
・肝臓:AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇
・その他:乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまい

副作用(臨床検査値異常変動を含む)の発現割合は0.2mg投与群で 1.5%(2/137例)、1mg投与群で6.5%(9/139例)、プラセボ群で2.2% (3/138例)であった。性機能に関する副作用は0.2mg投与群で1.5% (2/137例)、1mg投与群で2.9%(4/139例)、プラセボ群で2.2%(3/138 例)に認められた25)。本剤投与群(0.2mg及び1mg)に認められた主 な症状はリビドー減退1.1%(3/276例)、勃起機能不全0.7%(2/276例) であった。

プロペシア錠0.2mg 1mg/添付文書

なお、最近ではPFS(ポストフィナステリド症候群)というプロペシアの服用を中止した後に「後遺症」として、ED等の副作用がネットで報告されるケースがありますが、現代医学ではPFS(ポストフィナステリド症候群)に医学的な根拠がなく、いわゆる精神疾患との混同と考えられているようです。

AGA治療薬の副作用一覧はこちら

プロペシア(フィナステリド)のドーピングリスク

プロペシア(フィナステリド)は利尿効果があり、筋肉増強剤の使用痕跡をごまかす効果を持つ薬として、2005年に世界アンチ・ドーピング機関からドーピング剤として禁止薬物リストに加えられていました。2007年にソフトバンクのガトームソン投手が、日本のプロ野球界ではじめてプロペシア(フィナステリド)を服用したことでドーピングが発覚し出場停止処分を受けました。

その他にも、プロペシア(フィナステリド)が原因でオリンピック出場を逃した選手や出場停止処分になる選手が多々いましたが、検査の技術が進歩したおかげで禁止物質の使用を判別することが可能となったため、2009年1月1日には禁止薬物のリストからプロペシア(フィナステリド)が外されました為、スポーツ選手でも安心して服用することが可能です。

プロペシア(フィナステリド)の服用方法

毎日欠かさず決まった時間にプロペシア(フィナステリド)0.2mg~1mgを水と一緒に飲みます。なぜ毎日決まった時間かというと、プロペシア(フィナステリド)が肝臓で完全に代謝されるのに約24時間が必要と言われている為、体内のフィナステリドの濃度を一定に保つためには、24時間経過して完全に対外に排出する前にプロペシア(フィナステリド)を補給する必要があるからです。

6. 用法及び用量
男性成人には、通常、フィナステリドとして0.2mgを1日1回経口 投与する。なお、必要に応じて適宜増量できるが、1日1mgを上 限とする。

プロペシア錠0.2mg 1mg/添付文書

なお、プロペシア(フィナステリドに限ったことではありませんが、過剰に飲み過ぎると想定していない副作用が出る恐れがありますので、他の薬と同様に用法・用量を守って正しく服用してください。

プロペシア(フィナステリド)の禁忌

この薬を服用できるのは成人以上の男性のみです。女性や子どもが服用すると体に悪影響を及ぼす危険性があるため、服用は禁止されています。特に妊娠中や妊娠の可能性がある婦人には、新生児奇形といった胎児に悪影響を及ぼす危険性があるため、譲渡はもちろん厳禁ですが薬に触れる事自体も禁止されているので取り扱いや服用の際は十分な注意が必要です。

8. 重要な基本的注意
本剤の使用に際しては、患者に次の事項を説明すること。[2.2、 9.5、9.6、14.1参照]
・本剤を妊婦に投与すると、本剤の薬理作用(DHT低下作用)により、男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがある。
・本剤を分割・粉砕しないこと。 本剤が粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性は取扱わないこと。本剤はコーティングされているので、割れたり砕けたりしない限り、通常の取扱いにおいて有効成分に接触することはない。

プロペシア錠0.2mg 1mg/添付文書

また、錠剤を分割することで薬の粉末は空中に舞うと空気と一緒に女性が吸い込む可能性がある為、プロペシア(フィナステリド)の分割使用も禁止されています。

プロペシア(フィナステリド)の入手方法と価格

プロペシアは一般の薬局で購入することはできません。理由としては、医師が処方しなければならない処方箋薬に指定されているからです。国内で入手をするためには、皮膚科やAGA専門病院などの医療機関で処方してもらう方法のみです。(本サイトでは個人輸入は危険性が非常に高い為推奨していません。)

なお、プロペシアは我が国でも承認されており、医師の処方せんが必要な医薬品になっております。安易な個人輸入は行わず、必ず医療機関を受診し、医師の処方により正しく服用するようにしてください。

プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について/厚生労働省

価格は1ヶ月分(1mg28錠)で6,000円~7,000円前後程度です(MSD製薬の正規品「プロペシア」の場合)。プロペシア(フィナステリド)は、ジェネリック薬も出ており、28~30錠で4,000円~6,000円前後が相場となっています。

フィナステリドのジェネリック医薬品の種類

プロペシア(フィナステリド)は国内及び国外で様々なジェネリック医薬品が販売しています。ここでは代表的なジェネリック医薬品を紹介しています。

フィナステリド錠(ファイザー社)

ファイザー_フィナステリド1mg
ファイザー_フィナステリド1mg

「ファイザー社」はアメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を置く製薬会社で、アメリカの「ファルマシア社」を買収し、世界最大の製薬会社へと成長しました。有力な新薬を会社ごと買収して収益を上げる手法は「ファイザーモデル」とも呼ばれるようになったとか。価格は4,000円~5,000円程度です。ファイザー社が販売を承認された日は2015年2月19日で、ジェネリック薬を発売した日は2015年4月6日になります。

フィナステリド錠(クラシエ)

クラシエ_フィナステリド錠0.2mg

クラシエホールディングス株式会社は、2007年7月1日にカネボウ・トリニティ・ホールディングスより社名変更した会社です。カネボウ株式会社の事業のうち、日用品、医薬品、食品事業を継承しました。ジェネリック薬の「フィナステリド錠」を取り扱っているクリニックが少なく、取り扱っていれば4,000円前後で処方されています。クラシエ社が「フィナステリド錠」の販売を承認された日が2016年2月18日、ジェネリック薬を発売した日が2016年4月21日です。

フィナステリド錠(サワイ)

サワイ_フィナステリド1mg
沢井製薬_フィナステリド錠1mg

「ジェネリック医薬品の沢井製薬」でも有名で、2020年2月からは高橋英樹さんが出演するCMも流れるようになりました。椅子に座っただけで全身をスキャンし、オーダーメイドの薬を作る未来の話している姿は聞いていて楽しくなりますよね。価格は他のジェネリック薬と同等程度の4,000円前後です。沢井製薬は2016年2月18日に販売承認を得て、ジェネリック薬を発売した日が2016年3月17日になります。

トーワ_フィナステリド1mg
トーワ_フィナステリド錠1mg

2020年2月ごろから、黒柳徹子さんと南こうせつさんが出演するCMが流れています。「+αのジェネリック、東和薬品のジェネリック」や「せっかく後から出すお薬ですもの。もっといいお薬を」という音楽やメッセージを伝えています。東和薬品がフィナステリド錠の販売承認を得た日は2016年09月01日、発売した日は2016年09月20日になります。東和薬品のジェネリックもサワイ、ファイザーと並ぶほどクリニックでよく見かける薬で、5,000円まではいかないくらいのお値段です。